そうなると、ジャパンオフィスは国内で仕事をすることになるので、「世界を土俵に仕事をする」=「海外のプロジェクトで仕事をする」と考えていた人からすれば、「大きな誤算」ということになる。

「ジェフ・ベゾスと仕事をしている人」と仕事をする

グローバルの本社とつながり、グローバルの組織の一員として仕事をする、これが「世界を土俵に仕事をする」ということである。それができるのは、具体的な例を挙げると「ボス」のグレードである。もちろん外資系でも能力の低い「ボス」はいるが、それでも上位層の実力はけた外れに高い。

10万人以上の組織を抱えて、毎日数百通のメールをこなし、アメリカ、ヨーロッパ、アジアと電話会議を行い、大きな方針は自分で考えていく。例えば、私のボスは、45歳という若さで、アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾスやマイクロソフトCEOのサティア・ナデラとも関係を築いている。

しかしながら、このようなクラスの人材とつながりを持てるのは、ごく一部。グローバルな環境にいない限りできることではない。ただし、自分が直接世界の大物とやりとりするのではなくとも、このボスのようなグローバルに活躍する実力のある人たちと一緒に仕事をする可能性があることこそが、「世界を土俵に仕事をする」の1つの形ではないだろうか。

そもそも「日本化された外資」と「外資」とでは大きく違う

日本IBMや日本オラクルなどは1000人を超える従業員がおり、日本法人としても長い歴史がある。社内に日本人も多く、日常の仕事はほぼ日本語で完結できる。

対して、インフォシス、ウィプロなどのインド系IT企業は日本人の比率が少なく、日常も英語の会話の比率が高いワークスタイルだ。日本に事務所を構えたばかりの米国のスタートアップ企業の日本支店だと、仕事はそのほとんどが米国本社とやりとりしながら進めることになる。このような企業では日本人はマイノリティーな存在にある。

つまり、日本IBMのような「日本化された外資」の場合は、本社からすれば「日本化」することが1つのゴールで、日常の生活は日本企業とあまり変わらないわけだ。日本企業で現在働いていて、「外資系」に転職したいと考えている人たちのなかには、「外資系」のイメージ(企業文化とかワークスタイルとか)を「日本化された外資」として浮かべている人もいるだろう。そんな人の中には、「日本化されていない外資」のワークスタイルに面食らう人もいるかもしれない。