そもそもなぜ「外資系」に転職したいのか

転職相談にきた人に、「今勤めている日系の会社をやめて、なんで外資系に行きたいのか」と質問すると、こんな答えが返ってくる。

1.年功序列ではなく成果主義。結果さえだせば、年齢に関係なく高給で、上位の役職につくことができるから
2.世界を土俵に仕事ができるから
3.意味のない、仕事のための仕事、会議のための会議がないから
4.英語やマネジメント、勉強の機会が多いから
5.英語で会話、海外で仕事、飛行機はビジネスクラス。ちょっとかっこいいライフスタイルだから

「評価」は実力主義とか結果主義とか言うけれど……

最初の「結果主義で高給と上位の役職が得られる」と、「世界を土俵に仕事ができる」の2つについては、理解できる。しかしこれら2つは、必ずしもかなうとは限らない。

特に個人の成果についての「評価」は、転職がうまく行くかの最も重要なポイントであり、せっかく移った会社を去っていくきっかけの多くが、その「スレ違い」に起因する。

IBMでもアクセンチュアでも、「日本の会社と同じようなこと」は起きる。どういうことかというと、たしかに年功序列は基本的にはないが、このような会社は、KPI(評価指標)は明確でも、最後のランク付けについては絶対評価でなく、ランクごとに分布率が決まっているのだ。

例えば、S評価は全体の2%、A評価は全体の10%などである。日本の会社では当たり前の話だが、外資でも同じことは起こるということ。つまり、これだと、満足できる業績を残しても、満足のいく評価がもらえないということが起こってくるわけだ。

さらに、グローバル企業の場合、国やエリアで評価の分布率や昇進できる人の数の割り当てが決まっているところが多い。日本と比べ、米国はビジネスの規模が大きいので、コンサルティング会社でいうところのディレクター、マネージングディレクター、IT企業のバイスプレジデントやアソシエイトバイスプレジデントのクラスになると、特に枠の数や分布率はアメリカに偏り、すなわち日本やアジアが不利になってしまう。

その地域が稼いでいないのだから、当たり前といえば当たり前の話ではある。シニアマネジャーで入社して、素晴らしい成果を残してもその上のポジションの枠が日本を含むAPACだと1つしかなくて、倍率1000倍――そんな企業の話を聞いたこともある。これでは、そう簡単に昇進は見込めない。