働き盛りのビジネスパーソンなら、外資系企業への転職を考える人も多いだろう。年功序列ではなく成果主義で働きたい。グローバルに挑戦したい。また、高い報酬を魅力に感じる人もいる。しかし、インフォシスリミテッド日本の大西俊介代表は「外資系で働きたいという相談者には、勘違いをしている人も少なくない。実力があるからと言ってすぐ成功できるわけではない」と指摘する。外資系で働くために必要なものとは――。

20代後半から30代前半の外資系転職人気は高い

日本の新卒就職事情を見ると、国内の大手の人気は根強い。ただ、内向きだと評される就活生の中にも、一定数は「外資系で働きたい」という人が存在する。ディスコが運営する就職情報サイト「キャリタス就活」が実施した「就職希望企業ランキング:総合編(2019)」では、上位に国内大手企業が並ぶ中、13位に外資系コンサルティング企業のアクセンチュアが入った。

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やはり外資系といえばコンサル、IT系メーカーが人気で、アクセンチュアはその代表格。すべての業種の中でのアクセンチュアが13位に選ばれた意味は大きい。これに対し、アクセンチュアと似た仕事ができそうな日系企業は、17位日立製作所、27位野村総合研究所、46位NTTデータがある。外資系では、PWCコンサルティングやデロイトトーマツコンサルティングもランキングに名前を連ねている。

経営コンサルタントとしての実感としていうと、20代後半から30代前半の若手・中堅の転職市場では、外資系の人気がより高い。私は約30年のキャリアの半分強が日系、残り半分弱が外資系企業。「真ん中よりやや日本寄り」でしかも一方通行ではなく、外資系、日系を行ったり来たりの往復で転職を繰り返してきたので、それなりに珍しいハイブリッド種である。

外資系への転職はそんなに甘くない

そんなキャリアのおかげもあって、NTTグループや日立製作所、富士通などの日本を背負って立つ大手IT企業の若手・中堅社員から、外資系企業への転職相談を受けることも多い。彼らの中には、転職が成功してその後、一緒に仕事をすることになるケースもあれば、さらにその後、互いに会社が変わってからも、関係を継続している人たちもいる。

成功の定義は人によりさまざまだ。最終的に、転職が成功するかしないかは、本人の考え方で次第であり、それは本人の責任である。しかし、そもそもこれから労働人口が少なくなっていくこの国の行き先を考えると、やはり成功する人間は増えてほしい。そんな思いから、外資系企業を目指す人たちに、外資系企業への転職は甘くはなく、予想以上に覚悟が必要であること、しかし、その壁を乗り越えて得られるものは計り知れないことを、できるだけ本音で伝えたい。

まずは、外資系企業で勝ち残るため、転職前に心得ておくべきポイントを解説しよう。