「給与は全員でオープンに話し合って決めるのが最もフェア」

働く時間や場所は自分で決める。上司や部下といった役職もない。そして極めつきは、役員・業務委託を含めてすべてのメンバーの給与は合議制で決定する――。「働き方改革」全盛の昨今において、その究極の進化系を見る思いである。

武井浩三氏

著者が率いるダイヤモンドメディアは、不動産業界向けのITソリューションを提供する、総勢30名のベンチャーだが、近年はその社内システムにスポットがよくあたる。

「会社を立ち上げる際、事業内容よりも先に、どういう組織であるべきかを考えました。何をやるかは二の次だったので、とりあえずどんなビジネスでも対応できるように、定款には様々な事業を片っ端から羅列しておいたんです(笑)」

そうまでして目指す組織像のヒントになったのは、かつてメジャーデビューまで経験した音楽活動なのだという。

「バンドは個人事業主の集まりのようなもの。活動を続けるうちにメンバー間の役割が明確になり、やがてリーダーが自然発生します。何より、皆、音楽が好きで自発的にやっている。肌に合わなければ、無理して続ける必要はありません。仕事も本来そうあるべきで、そういう働き方ができる会社をつくりたいと考えたんです」

実は現在の立場に至るまでに、2~3の事業を立ち上げては清算してきた過去を持つ武井氏。それは挫折の経験でもあり、経営者としての貴重な糧でもある。その経験から、こんな考え方に到達した。

「給料とは本来、非常に難しいものだと思います。その人が会社にもたらす価値は絶対的なものではなく、タイミングや環境によって変わります。それでも金額を決めなければならないなら、全員でオープンに話し合って決めるのが最もフェアではないでしょうか」