中国、フィリピン、トルコ、そして日本の危機
朝日社説は「報道への敵視や弾圧は広がっている」として中国の言論弾圧、フィリピンやトルコのメディアの閉鎖を挙げた後、日本の危機に触れていく。
「米国の多くの社説がよりどころとしているのは、米国憲法の修正第1条だ。建国後間もない18世紀に報道の自由をうたった条項は、今でも米社会で広く引用され、尊重されている」
「その原則は、日本でも保障されている。『言論、出版、その他一切の表現の自由』が、憲法21条に定められている」
「ところが他の国々と同様に、日本にも厳しい目が注がれている。国連の専門家は、特定秘密保護法の成立などを理由に『報道の独立性が重大な脅威に直面している』と警鐘を鳴らした」
私たち国民は、この朝日社説の指摘を真剣に考える必要があると思う。
読売や産経もこの問題を取り上げるべきだ
さらに朝日社説は「自民党による一部テレビ局に対する聴取が起きたのは記憶に新しい。近年相次いで発覚した財務省や防衛省による公文書の改ざんや隠蔽は、都合の悪い事実を国民の目から遠ざけようとする公権力の体質の表れだ」と具体例を挙げ、こう指摘する。
「光の当たらぬ事実や隠された歴史を掘り起こすとともに、人びとの声をすくい上げ、問題点を探る。そのジャーナリズムの営みなくして、国民の『知る権利』は完結しない」
まったくもってその通りである。
ところで朝日社説は前半でこう書いている。
「米国の多くの新聞や雑誌が、一斉に社説を掲げた。『ジャーナリストは敵ではない』(ボストン・グローブ紙)とし、政治的な立場や規模を問わず、結束を示した。その決意に敬意を表したい」
繰り返すが、他の日本の新聞社も社説に取り上げるべきである。特に「右寄り」「政権擁護」などと批判されることの多い読売新聞や産経新聞が何を主張するか。読んでみたいところだ。
(写真=時事通信フォト)