予想された通り「安倍対石破」の一騎打ちに
とにかく日本の社会の梅雨空のように息の詰まる状況を大きく変えてほしい。それには長く続く「安倍1強」の政治を壊すか、あるいはこれまでの政治を安倍政権が反省するしかないだろう。
8月10日、自民党の石破茂元幹事長が記者会見して9月の自民党総裁選への立候補を表明した。一方、優位に立つ安倍晋三首相も翌11日、地元山口県の会合で「6年前に自民党総裁選に出た時の志はみじんも変わることはない」と述べ、事実上の出馬表明を行った。
これで総裁選は予想された通り、「安倍対石破」の一騎打ちとなる。両氏とも大いに政策論議を戦わせてほしい。
いまのところ「告示9月7日、投開票20日」という選挙日程が有力だ。投票権を持つのは、405人の国会議員と100万人を超す党員だ。与党第1党の党首の選挙は、政権運営を検証する絶好のチャンスである。
たとえ石破氏が敗れたとしても、安倍首相の得票数に迫ることができれば、強硬姿勢の安倍政権も反省するはずだ。
石破氏の出馬には大きな意味がある。
「安倍1強」の弊害の核心が「森友・加計疑惑」だ
ここで官邸主導の政治が生んだ「安倍1強」の弊害について簡単におさらいしておこう。
安倍首相や首相夫人と親しい限られた人物が優遇されたのではないかという疑惑。これが弊害の核心となる「森友・加計疑惑」である。
森友学園への国有地の大幅な値引き売却を巡って、財務省の決裁文書が改竄されていたことが明らかにされた。その後6月に公表された同省の内部調査報告では、理財局長だった前国税庁長官の佐川宣寿氏に責任を押し付け、「佐川氏が主導した」とされた。
だが、調査報告内容と3月の佐川氏の証人喚問の説明との間に疑問が生じた。野党は再喚問と偽証罪で刑事告発を求めたが、自民党は同意しなかった。
そればかりか、麻生太郎財務相は佐川氏がなぜ主導したかについて「それが分かれば苦労しない」とまるでひとごとのような態度を取った。あぜんとさせられる。まさにおごり以外のなにものでもない。