官僚たちは出世を優先し、過度の「忖度」に走る
加計学園問題では、愛媛県の文書の「2015年2月に安倍首相と加計孝太郎理事長が面会した」との記録が、事実か否か。これが大きなポイントになっている。
安倍首相は否定し、加計氏も「加計学園の事務局長による作り話だった」と弁解をしている。愛媛県と、安倍首相、加計氏のどちらかがウソをついていることになる。加計氏は記者会見で「(国会招致を)お待ちしています」と述べたが、自民党側は「必要ない」と一蹴してしまった。
「森友・加計疑惑」以外では、財務省の事務方トップの事務次官がセクハラ疑惑で辞任。文部科学省では私立大学支援事業に絡んだ汚職事件も摘発され、女子受験生や浪人生を差別する東京医大の裏口入学も明らかになった。
霞が関では官僚たちが官邸にただ従うだけでなく、自らの出世を優先し、過度の「忖度」にまで走っている。公務員たるもの、国民の公僕という基本を忘れないでほしい。
これらは直接、安倍政権には関係ないかもしれない。だが、沙鴎一歩には「安倍1強」の緩みや閉塞感がもたらした事件や疑惑、問題に思えてならない。
現職の総裁に対抗馬が立ったのは2例だけ
朝日新聞は8月11日付の社説で「安倍1強を問う論戦に」とのストレートな見出しを掲げ、「石破氏は、党三役や閣僚を歴任した論客だ。具体的で実のある論戦を期待する」と主張する。朝日は石破氏に加勢するようだ。
安倍首相を嫌う朝日らしさがそのまま出ているが、次に「結党から63年になる自民党の歴史でも、現職の総裁に対抗馬が立ったことはそう多くない」と指摘して過去の総裁選を振り返る。
「94年に自社さ連立で政権に復帰して以降では、小渕首相に加藤紘一、山崎拓の両氏が挑んだ99年と、小泉首相と亀井静香、藤井孝男、高村正彦の3氏が争った2003年の2例だけだ」
「加藤氏らは、小渕氏が進めた自自公の連立路線に異議を申し立てた。亀井氏らは、『抵抗勢力との対決』を演出して官邸主導を強める小泉氏の政治手法に修正を迫った。いずれも首相が勝利したが、対立軸は明確で、挑戦者の舌鋒も鋭かった」
なぜ朝日社説は過去の総裁選を振り返るのだろうか。そう考えながら読み進むと、納得できそうな答えが待っていた。