都合の悪い現実をねじ曲げ、自画自賛したがる傾向

8月18日の土曜の早朝、まだインクの匂いの残る新聞各紙を開くと、毎日新聞と朝日新聞が米国の「一斉反論社説」のニュースを社説のテーマに取り上げていた。

毎日社説は「メディア敵視を改める時」(見出し)との主張をトランプ氏に投げかける。

「『自由の国』の米国にあって、これほど報道をおとしめたがる大統領がいただろうか」と書き出し、「異例の事態である。それだけ米国のジャーナリズムが危機的状況にあるということだろう」と指摘する。

そのうえで毎日社説は、こう書く。

「米国憲法でも保障された『報道の自由』は、健全な民主主義社会にとって欠かせない要素だ。連帯して危機感を訴える米国のメディアに、私たちもエールを送りたい」

日本の毎日新聞が、350を超える米国の新聞社の動きに参加しようと声を上げた。そんな毎日の姿勢を評価したい。メディアの危機だ。他の日本のメディアも追従すべきである。いまや「右だ」「左だ」などと主張を異にしている場合ではない。

続けて毎日社説は指摘する。

「トランプ氏のメディア敵視は、同氏が第三者の批判を嫌い、独断的に行動したがることと裏表の関係にあるようだ。都合の悪い現実をねじ曲げ、自画自賛したがる傾向も就任当初よりさらに強くなっている」

「第三者の批判を嫌う」「独断的に行動する」「自分にとって都合の悪い現実をねじ曲げる」「自画自賛が強くなる」。いずれもトランプ氏の性癖をみごとに表現している。

ナチスによるユダヤ人迫害と同じだ

毎日社説の解説と指摘はこう続く。

「この『一斉社説』は有力紙ボストン・グローブが全米に呼びかけて実現した。同紙の社説は自由な報道に対するトランプ氏の『持続的な攻撃』を批判し、マイアミ・ヘラルド紙はジャーナリストに対する敵意を、第二次大戦時のナチスによるユダヤ人迫害にたとえている」
「いずれも説得力がある。大手のニューヨーク・タイムズ紙は『一斉社説』に参加し、ワシントン・ポスト紙などは個別性を重視して加わらないという違いも出たが、報道への危機感は広く共有されている」

多くの新聞社が社説で一斉にトランプ氏を批判する。これこそ、ジャーナリズム精神を生んだアメリカの新聞だ。