会社を定年退職すると、「退職金」と「企業年金」は、一体いくらもらえるのか。実態を探るため、今回3人の年金生活者に詳細を聞いた。第1回は国内大手企業OBで68歳の田中さん。毎月の収入44万円の内訳とは――。
※本稿は、雑誌「プレジデント」(2018年1月1日号)の特集「老後に困るのはどっち?」の記事を再編集したものです。
国内大手企業OB
田中靖之さん(仮名)68歳
大学卒業後、大手電機メーカーに入社。人事部門で人事・労務関係業務を担当し、人事部長を経て2社の関連子会社の社長に就任。60歳で退職後、介護施設会社の社長を経て人事コンサルタントとして複数の会社の顧問を務めている。
田中靖之さん(仮名)68歳
大学卒業後、大手電機メーカーに入社。人事部門で人事・労務関係業務を担当し、人事部長を経て2社の関連子会社の社長に就任。60歳で退職後、介護施設会社の社長を経て人事コンサルタントとして複数の会社の顧問を務めている。
退職後は悠々自適にと思ったけれど……
「自分にとって一番の投資は働くことです」――。こう語る田中さんは今もフリーの人事コンサルタントとして忙しい日々を送る。
大手電機メーカーの人事部長だった56歳のときに子会社の社長に転出。2社の社長を経て60歳で会社を定年退職した。もっと長く働きたかったが「とりあえずしばらくゆっくりして別のことをやろうと思った」と言う。
子会社への移籍前の56歳時の退職金は4500万円。税金が200万円。残りの使い道は会社融資の住宅ローンの返済額として1500万円を支払い、企業年金充当分に1600万円、退職一時金として1200万円を受け取った。その後、子会社の社長退任時に退職慰労金として1300万円をもらっている。
退職後の生活は18年間の有期年金の月額約12万円、公的年金が22万円。それに自分で積み立てた個人年金の支給月額が約10万円あった。「当時は個人年金の利率が高く、将来を考えて30歳から個人年金の積み立てを始めました。毎月の給与だけでなく、ボーナス時などお金があるときは多めに払った」。その分を合わせて月の収入は約44万円。生活するには決して少ない額ではないが、何もしない家での生活にしだいに息苦しさを感じ始めた。
「たいした趣味もなく、暇で暇でしょうがない。いつまでこんなことをやっているんだと悩みながら悶々とした日々を9カ月ほど送りました。44万円もあれば生活は大丈夫と思っていたのですが、社会保険料や固定資産税などの支出も結構ある。妻から『ストックはあるけどフローが回りません』と言われました」
▼田中さんの月収入内訳
・企業年金(有期)12万円/国民年金+厚生年金22万円
・個人年金10万円
⇒約44万円/月
・企業年金(有期)12万円/国民年金+厚生年金22万円
・個人年金10万円
⇒約44万円/月