「かわいそうな境遇だから小遣いをあげている」
次に、親側からみた子供への援助に対する意識です。
この調査の後に、50~60代のハルメク読者に、「結婚しない子供になぜ援助しているのか」と聞きました。目立ったのは、このような意見です。
「かわいそうな境遇だから小遣いをあげている」
「自分たちの頃より苦労しているから」
「自分たちの頃より苦労しているから」
経済の低迷、給与相場の低下、非正規雇用の増加、婚姻率の低下といった「時代背景」を援助する理由として挙げる親が多いのです。非正規雇用で働く子供(未婚)を持つある親は「自分の育て方が良くなかったから」と負い目に感じて援助をしているそうです。親側・子供側の懐事情がそれぞれ異なり、「(子供への援助を)今さらやめられない」という声もありました。
子育てに対する罪悪感や責任感を捨てる勇気を持つべき
以上の調査を通じて、筆者が感じたこと。それは、援助に関して、あげる親ともらう子供の間で認識にズレやゆがみが生じているケースが少なくないということです。親が子供を心配して頑張って援助しても、子供は「親が負担して当然」と認識したり、逆に「ありがた迷惑」と感じたりしているとしたら、あまりにも切なすぎます。
筆者は、親も子もお互いが自立して、率直にものが言い合える関係性を築くのがベストだと考えます。子供側には「親と適度な距離感を保ちながら、伝えるべきことは伝える(要らない場合はその旨をはっきり言う)こと」、親側には「子育てに対する罪悪感や責任感をいったん捨てる勇気を持つこと」を勧めます。
少なくとも、惰性で援助する・される関係がダラダラ続くのは、生きたお金の使い方には程遠いのではないでしょうか。
(写真=iStock.com)