もらえるものはもらった上で、親の「甘さ」に苦言

突出した額の「小遣い」が象徴しているように、日常的に親からもらう援助は、未婚の子供が最も高いのです。小遣いを含む援助は年間約24万円。ということは月2万円という計算になります。決して少ないとは言えない金額でしょう。

これは、未婚の子供がずうずうしいということなのでしょうか。それとも、親が未婚の子供の場合は何歳になっても自分が保護者であるという意識が強いのでしょうか。

まず、子供の意識を探ってみたいと思います。

先の調査のなかで、前述の「日常のお金」13項目に住宅所得(補助)費などの「ライフイベントのお金」5項目を加えた計18項目の親からもらったお金・物の金額の印象を、「当たり前(印象にない)」「ありがたかった(いい印象だ)」「迷惑だった(面倒が増えた)」といった選択肢から回答してもらいました。

図表2は、<未婚・子なし>が、ありがたみが低い(「当たり前(印象にない)、「迷惑だった」(面倒が増えた)を選んだ人の合計)と感じた順に並べています。

<全体>の上位2つは「光熱費」「食材費」で、2割の人がありがたいとは思わずに受け取っていたことがわかりました。

「自立しているので現金は渡さないでほしい」

一方、<未婚・子なし>だけをみると、ありがたみを感じていないのは、1位「食材費」、2位「旅行代」、3位「光熱費」、4位「外食費」、5位「帰省時の交通費」「病気時のお見舞金」、7位「住宅取得費」、8位「小遣い」となります。

<未婚・子なし>は親と同居しているケースが多いこともあり、「光熱費」「食材費」など生活で必要な支払いや「旅行費」「外食費」など一緒に外出したときの支払いに関しては、「してもらって当たり前」という意識なのでしょうか。もしかすると、印象になく、支払わなければという意識さえないのかもしれません。

「小遣い」に関しては、どうでしょうか。

未婚の子供で親からもらう小遣いを「ありがたみの低い援助」と考える割合は約7%と少数派でした。その理由は、フリーアンサーをみると、「自立しているので現金は渡さないでほしい」(32歳男性)といった親の子離れを望む声や、「小遣いよりも今後の金銭や資産管理についての情報を共有してほしい」(38歳男性)など即物的ではないコミュニケーションを求めるコメントが見受けられました。これは、親からもらうものはしっかりもらいつつ、親の「甘さ」に苦言を呈する形とも言えます。