「教団の闇」をどうやって解明するべきなのか
最後に読売新聞の社説(7月7日付)をのぞこう。
「上川法相は、執行後の記者会見で、『2度にわたる無差別テロなど、一連の犯行は組織的、計画的で、極めて凶悪重大なものだ』と執行の理由を述べた」と書き、「法相に課せられた重い職責を粛々と果たしたと言えよう」と指摘する。
さらに「上川氏は『慎重にも慎重な検討を重ねて執行を命令した』と強調した。今後もこの姿勢を堅持していくことが大切だ」と訴える。
保守本流を歩む読売らしい主張だが、国際社会が死刑廃止に動いている現状も加味すべきだ。その点に欠けているから「『オウム』を再び生まぬ社会に」(見出し)という主張も読者には届かないのではないかと思う。
中盤で読売社説はこうも述べている。
「松本死刑囚の裁判は、1審だけで約8年も要した。それにもかかわらず、松本死刑囚は教祖として信者を洗脳し、事件に駆り立てた経緯をほとんど語らなかった。教団の闇は解明されないままだ」
ここまで書いた以上、「教団の闇」をどうやって解明するべきなのか、具体的に示してほしかった。読者の期待はそこにあるように思う。
(写真=AFP/時事通信フォト)