誰もが「必要なとき」に大学に行ける社会に
流動型の大学のあり方に近づけるための方法として濱中氏は、社会人が大学に通う機会を増やすことを提案する。
「企業が大学に社員を派遣したり、社会人学生が増えたりすることで、社会人になってから大学へ通うことの意味を経験から学ぶのです。社会人の場合は必ずしも学位が欲しいとは限りません。そのため、社会人を受け入れる大学側は、単位認定の仕方や講義期間などを柔軟に考えていく必要があります」(濱中氏)
大学が高校卒業後に限らず、人生のなかで「必要なときに行く場所」になり、その価値を自らのキャリアでも実感できるようになることで、教育費の公的負担に対する関心も高まるはずだ。
誰もが必要な時に大学に行け、その費用をみんなのお金としての税金で負担することができれば、社会のお金で大学に通うことは「甘え」ではなく、「当たり前」となる。奨学金で進学することの価値を問う前に必要なのは、大学教育が何のためにあり、社会にとっていかなる効用があるのかを再確認することだろう。