事態を動かそうと思えば、チャレンジしかない。成功することもあれば、失敗することもある。しかしとにかくチャレンジしないことには、成功はあり得ない。今回の米朝首脳会談は、世界を動かすチャレンジであり、米朝のみならず、中国、韓国、ロシア、日本の各政府、各国の政治を動かすための大号令、大号砲なんだよ。中身は官僚組織がこれから詰めていく。行き詰まればその都度トップ会談で事態を打開する。これが北朝鮮非核化を実行するプロセスだ。

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日本は評論家になるな、他者の力を頼り過ぎるな、当事者意識を持って最悪の事態へ備えよ

アメリカ、トランプのおっちゃんにとっては、北朝鮮のICBM(大陸間弾道ミサイル)廃棄が実現できれば、とりあえずアメリカ本土を狙われることはなくなり、アメリカの利益を実現できる。その他の中距離ミサイルが存在しようが、核弾頭が残っていようが、ICBMさえ廃棄できれば、ぎりぎりアメリカの利益を守ることができる。そしてトランプのおっちゃんとしては朝鮮戦争の終結ができれば歴史的に名を残すことができる。

北朝鮮・金さんにとっては、ICBMの廃棄と引き換えに北朝鮮の体制保証さえ得られれば、自分の身を守ることができる。

ということで、北朝鮮がICBMを放棄して、朝鮮戦争を終結させるというラインで落ち着く、すなわち日本を射程に収める中距離ミサイルや、核弾頭は残るという日本にとっては最悪の収まり方を想定して、日本は、日本自らの対処方法を今から考える必要がある。

ところが今の日本の状況は、米朝首脳会談とその後が日本にとって最大の利益になるような進展を「願望・希望」し、第三者的に米朝会談の成り行きなどを「評論・予測」しているだけ。日本にとって最悪のことを想定して、その対処方法の選択肢を考え、実行することが、今の日本にとって一番重要なことだ。アメリカの力をうまく利用する必要はあるが、アメリカの力を頼り切ることは、もう終わりにしなければならない。

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(ここまでリード文を除き約3300字、メールマガジン全文は約1万6400字です)

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.107(6月12日配信)を一部抜粋し、大幅に加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【トランプ流マネジメント】米朝会談実現! 評論している場合じゃない、日本は最悪の結果に備えよ!》特集です!

(写真=AFP/アフロ)
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