インサイダー取引がバレたら自分は解雇か?

「タレコミも多いですね。SESCには通報窓口がありますが、仲間割れや、口座名義を借りた飲み屋の女性による『ほかに女ができた』のが契機と思われるものとか」(石井氏)、「本人が守る価値がある男か否かが焦点ですが、彼女たちに法律上の守秘義務はないし、わが身可愛さで全部話しますよ」(野村氏)

実際、バレるとどうなる?

「サラリーマンの場合、バレたら会社にガサ入れが入って、本人は社会的制裁を受けます。もちろん、就業規則上、解雇になるでしょうね」(石井氏)

「多くは仕事絡みで得た情報で株取引を行っているので、重要情報の決定時期と嫌疑者の関係等がわかるありとあらゆることを調べるため、勤務先にガサ入れが入るのは当然」(野村氏)

自分が原因で、社長室や総務部、ひいては取引先に捜査員が入ったときの心理的ダメージは計り知れない。

「SESCは本気になるとコスト度外視で、口座開設時からすべての期間の取引を調べ上げ、本人が忘れた頃にやってきます」(野村氏)――目をつけられたら終わり、のようだ。

▼インサイダーがバレる「3つの穴」
(1)回数を重ねるうち、やり方が雑になる

・取引金額が大きくなって目立つ
・取引に時間差をつけなくなる
・他人名義・休眠会社名→自分の名義で取引するようになる
・海外を経由させず国内の口座で取引するようになる
(2)密告される
・裏切りやその報復など仲間割れ
・女性の裏切り(名義を借りた愛人、飲み屋の女性、妻)(ほかに愛人ができた、守る価値がないetc)
(3)怪しい複数銘柄の共通項から絞り込める
・TOB、M&A等は情報を持つ人が限られるため(主幹事、弁護士、監査法人、ファイナンシャルアドバイザーetc)

野村宜弘

公認会計士
金融庁証券取引等監視委員会事務局等を経て2011年野村宜弘公認会計士事務所設立。

 

石井輝久

弁護士
金融庁証券取引等監視委員会事務局等を経て2018年TMI総合法律事務所。

 
(撮影=初沢亜利 写真=Getty Images)
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