交際彼女と会えず、「つい女性を求めてしまいました」

検察と被告のやりとりを再現しよう。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/AlexLinch)

●検察:「起訴猶予になったばかりなのに、なぜまたやろうと思ったのか?」

○被告:「(前回の事件後)つきあっていた彼女としばらく会っていなくて(距離を置かれていた)、つい女性を求めてしまいました」

●検察:「前回、3日間留置所に入っていましたよね」

○被告:「はい。後悔と申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、自分の弱さから理性が働かず、またやってしまいました」

今度こそ立ち直るために、社会復帰したら実家に戻り、両親監視の下で暮らすと決意を述べる被告人。疑わしそうに見る検察にこう言った。

○被告:「無期限で外飲みをやめるつもりです。家で飲んで危ないと思ったら、親に頼んで外出を控えます。家で飲んだら外出しません!」

判決は求刑通りの懲役1年6カ月で、執行猶予3年付き。予想の範囲内で決着したのだが、どうもスッキリしない。被告人は素直に罪を認め、示談も成立。東京を引き払って実家に戻るとまで言っているが、信用できないと感じてしまうのだ。

▼筆者が罪を認める被告を信用できないと感じた理由

親に頼りすぎているからだろうか。違う。親が監督役を務める被告人はいくらでもいるし、示談金を出してくれたほどだから見放されてもいない。性犯罪を立て続けに犯したといっても、病的なまでの常習性は感じられず、立ち直れる可能性はじゅうぶんあると思う。それなのに、その言葉には説得力を感じられなかった。

同じ失敗を繰り返すことは誰にでもある。みなさんの仕事でもあるはずだ。そのとき「つぎは大丈夫だろう」と思われる人であれば、成果を積み重ねることで、やがてミスが帳消しになる。しかし、「また失敗しかねない」と思われれば、ミスを挽回するチャンスはやってこず、干されてしまう。