コミュニケーションが取れている「ふり」をする

欠けているのは、「対話」だ。その仕事が、会社の事業の中でどんな役割を担っているのか、社会にどんなインパクトを与えているのかという、社会的意義や文脈を、時間をかけて丁寧に伝えていく必要がある。「君は全体像の中で、重要な役割を担っている」「君がこの仕事をすると、こんな人がこうして喜ぶ」という、本人を主語・主役にしたストーリーを創り出すのだ。

今の若手は摩擦や軋轢を避けようとするので、上司との関係性が冷えていてもコミュニケーションが取れている「ふり」をする。だからいきなり対話を行うと、無理をしているのが伝わり、若手には「痛い上司」に見えてしまうかもしれない。このため対話する際は、いきいきと働いていて若手とのクッション役になってくれる中堅社員を仲間に引き入れるといいだろう。

指示待ち若手社員がいても、求められるままに細かい指示を出していれば、目の前の仕事は回る。しかし、放置すると、本人も成長しないし、将来は会社が指示待ち社員だらけになってしまう。「緊急度は低いが、重要な経営課題」として、マネジャーは地道に取り組む必要があるだろう。

仕事に多くを望まない「人並みで十分」な新入社員たち
新入社員対象の働き方に関するアンケート調査で「『人並みで十分』か『人並み以上に働きたい』か」を尋ねると、「人並みで十分」が激増。仕事への意欲低下が感じられる。
▼対処法
指示待ち社員を主語にしたストーリーを創って語る
豊田義博
リクルートワークス研究所主幹研究員
就職ジャーナル、リクルートブックなどの編集長を経て現職。著書に『なぜ若手社員は「指示待ち」を選ぶのか?』など多数。
 
(構成=大井明子 写真=iStock.com)
【関連記事】
飲み会幹事は管理職になるための"筋トレ"
20代で"やりたいこと"がないのは普通だ
"入社4日目"で退社した新社会人の言い分
新卒で商社に入った僕に、いま伝えたい事
新入社員に"サボり方"を教える社長の思い