若手にしろ、ベテランにしろ、どの職場にも「問題児」はいるだろう。どう向き合えばいいのか。「プレジデント」(2018年3月5日号)では、9つの場面について、具体的な対処法を識者に聞いた。第1回は「部内調整で押しつけ」について――。

なぜ飲み会を上手に仕切る人はいい管理職になれるのか

部内の調整事は、「できればやりたくない」というのが本音ではないでしょうか。たしかに高度経済成長以降は、会社から短期的な業績や成果を求められる傾向があり、直接成果に結びつかない調整事を避けたくなるのはわかります。また、近年はダイバーシティを推進する流れもあり、仕事や会社に対する考え方が異なる人たちが同じ職場で働いているため、調整事は以前より難しくなっています。

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しかし、面倒くさい調整事をいつも人に押しつける困った部下や同僚は、チャンスを自ら逃しているとも言えるのです。調整事は、リーダーシップを鍛えるトレーニングになるからです。

リーダーシップ育成には3つの段階があります。第1段階は、自分で仕事や役割をつくり出すこと。第2段階は、周りを巻き込みうねりをつくっていくこと。これは、多くの会社が次世代リーダーに期待していることでもあります。第3段階は、プロフェッショナルとして結果を出すことです。

この第2段階の「巻き込み力」を鍛えるのが、部内調整なのです。例として、部の飲み会の幹事を任されたとしましょう。まず、多くの人に参加してもらえるよう働きかける時点で、人を巻き込む力が鍛えられます。また、参加者の希望を汲んでよりよい飲み会にするためには、さまざまな人とコミュニケーションをとることが求められます。その過程で「A部長は○○社のビールが好き」「B課長とC課長は折り合いが悪い」など、たくさんの情報が集まってくるでしょう。それぞれの立場に配慮し、皆が楽しめる飲み会を開催できる人は、人を巻き込む力を持っていると考えられます。