「何でも引き受ける都合のいい人」になってはダメ

調整事の経験は、人脈形成につながります。トラブルを防ぐには、誰と話をすればいいのか。プロジェクトを推進するには、誰を説得すればいいのか。そうしたこともわかってきます。難しい依頼をするときも、「うまく部内を調整してくれているあの人の話であれば、聞いてみよう」と思ってもらえるかもしれません。

調整事で鍛えられる「巻き込み力」は、中間管理職としてのマネジメントにも役立ちます。会社組織の構造はざっくり分けて現場、管理職、経営陣の三階層になっています。そして、それぞれ求められる“筋肉”が違うのです。ミドルになると、自分で仕事を回すだけでなく、人を動かす力が必要になります。部内調整は、ミドルとして活躍するための“筋肉”をつける第一歩なのです。

さて、部内の調整事を人に押しつけるのが部下だった場合は、調整事の意義を丁寧に説明することです。長期的に充実したキャリアを築くためのトレーニングであると理解できれば、むやみに調整事を避けなくなるでしょう。そして、あなた自身が調整事を押しつけられたときは、喜んで引き受けましょう。ここで注意すべきは「何でも引き受けてくれる都合のいい人」にならないことです。自分は何のために周りを調整し、人を巻き込んでいるのかを意識する。目的意識を持ち、自発的に取り組めば、部内調整の経験は必ずあなたの糧になるでしょう。

▼対処法
管理職として「巻き込む力」を磨くチャンスと説く

前川孝雄(まえかわ・たかお)
FeelWorks代表取締役
青山学院大学兼任講師。350社以上で人が育つ現場づくりを支援。著書に『「働きがいあふれる」チームのつくり方』など。
 
(構成=崎谷実穂 撮影=向井 渉 写真=iStock.com)
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