20代のとき、「夢」や「やりたいこと」が語れないのは、恥ずかしいことでしょうか。NPO法人「G-net」で2000人以上の20代と面談を繰り返してきた秋元祥治さんは「20代で“やりたいこと”がなくても、まったく問題ない。夢や決意より、小さな行動を変えることが重要」といいます。秋元さんの著書『20代に伝えたい50のこと』(ダイヤモンド社)から、その理由をご紹介します――。

20代は、お金儲けよりも、ヒト儲けの方が重要

学校を卒業して、就職する時。あるいは、転職のタイミングも20代のうちには訪れるでしょう。実際、大学卒業後に10年間同じ会社に勤め続ける人の割合は、50%程度というデータもあるようです。

秋元祥治『20代に伝えたい50のこと』(ダイヤモンド社)

つまり、「どんな職場で働くか」というのは新卒にかぎらず20代共通の悩み。給与や福利厚生、あるいは知名度や安定性を重視する人もいるかもしれません。一方で、やりがいや成長できる環境かどうかを重視する人もいるしょう。

僕自身は21歳で創業し、そのままG-netの経営で20代を終えました。正直、給与水準はよくありませんでした。苦しい時もありました。大きな会社に勤めれば、もっと高い給与をもらえたのかもしれません。

ただ、20代を振り返った時に自身の仕事に後悔はありません。

以前、電気自動車を手掛けるベンチャー企業・ゼロスポーツ社長(当時)の中島さんにこんな印象的な言葉をかけてもらいました。

20代は、お金儲けよりも、ヒト儲けの方が重要なんだ。

お金はないよりあったほうがいい。けれど、20代の稼ぎの大小を比べても、一部の特別な例を除けば大した差じゃない。それ以上に、色々な人々と出会ってご縁が広がり、つながりが生まれていくことのほうがずっとずっと重要なのではないか、と思うのです。そして、様々な魅力ある人とのつながりは、20代の仕事がその先の自身への【投資】になっているかどうかを見定める大きなバロメーターと言ってもよいのかもしれません。

20代でいかに自分へ投資できるか

仕事をするようになってから、「ヒトを知っている」ということがちょっとの差だけれど、様々なチャンスを得られるか否かの大きな違いになると感じることが多くなりました。

そして、師匠や兄貴としたい目指すべき存在がいるかどうかは、これからを分ける大きなポイントです。振り返ってみた時に、どれだけたくさんの師匠を持てているのか。テーマや分野ごとに、複数の尊敬しベンチマークできる存在がいれば、相談をしたり頼ったりすることも容易でしょう。

20代にとって大切なのは、給与の多少の多寡ではなく、より自身を高めていける環境かどうか。そして、魅力的な人々とつながりご縁を持てているかどうか。もちろん、高い待遇とつながりづくりが両立できる仕事であれば、言うことはありません。しかし、どちらかを選べと言われれば、チャレンジングでそして様々なつながりづくりができる時間の使い方を私は選びたいと思います。まだまだ続く人生の中で20代は、前半戦。今後の展開で差がつく【投資】を自身にしてきたかどうか、がポイントなのです。