フロイトの絶望的人間観

「君たちがつくっているのは自動車の一部だが、具体的にはどの車種のどの部分に取り付け、どんな役割を果たす部品なのかわかっていますか?」

とある自動車部品メーカーで製造現場のコンサルティングを手がけたときのことである。そろいのツナギを来て現れた若手諸君は、私のこんな問いかけに「いや、それは……」といったきり言葉を濁してしまった。つまり、きちんと把握していなかったのである。