売り上げ中心から利益重視への第一歩
収益性を解き放つことは組織のいくつもの部署を巻き込む取り組みだ。販売部門が価格を決定し、マーケティング部門が製品を設計し、業務部門が生産設備を管理するというように、関係するすべての部署がこの取り組みに参加しなければならない。CEOやゼネラル・マネジャーや事業部長は、総合的に見て最善のトレードオフを行う裁定人の役目を果たすことになる。
この取り組みによって、日常の意思決定プロセスが大きく浮き彫りにされることがある普段の活動では、すべての決定に部署横断的なチームが関与させられるわけではない。実際、すべてそうしていたら、スピードと機敏さが求められるビジネス環境では何も実行できないだろう。
収益性を解き放つプロセスは2段階でとらえる必要がある。第1に、総合的なパフォーマンスを高めることは、事業を「スッキリさせる」ことをめざす1度かぎりの取り組みだ。それは経営陣の支援のもと、通常とは異なる意思決定プロセスと部署横断的なチームの参加をともなう。第2段階は実行を継続的に改善していくことだ。「1度かぎりの取り組みを完了したことで、われわれは普段の意思決定の仕方について何を学んだか。この学習はわが社の事業に複雑さがしのび込むのを防ぐ──それが無理ならせめて遅らせる──のに役立つか」と、マネジャーは問い続けなければならない。
売り上げ中心の文化を利益中心の文化に変えるのは簡単な作業ではない。自社のプロセスと測定基準を総合的な見方に基づくものにすることは、よりシンプルで利益を生む企業にするための第一歩にすぎないのである。
(文=ジェイミー・ボノモ、アンディ・パステルナーク 翻訳=ディプロマット)