自滅しないちょうどいい仕事量はどれくらいか

――単なる自己満足ですか。

はい。脳のホルモンに騙されているだけですから。

――毎日、終電まで働くみたいな働き方は、身体は平気でも働きすぎなんですかね。

あたり前です。毎日終電で家に帰っていたら風呂に入って寝るしかない。勉強どころか、仕事をリセットする時間もない。迷わず仕事量を減らすことです。

――土日、働くのはどうですか。

別に土日働いても、朝起きたときに元気で「よし、やったるで」と思えるならいいですよ。働き方は自分で決めればいいので。でも、休んだほうが健康のためにはいいでしょうね。

――出口さんは、サラリーマン時代、土日は休まれていました?

ゴルフをしなかったので完璧に休んでいました。

――仕事に行き詰まったり、壁にぶち当たったりしたときは?

そのときは、早く帰ればいいんです。それで、好きな物を食べて、風呂に入って、ぐっすり眠った後に、もう一回考えればいい。頭と体を切り替えなければ、いいアイデアも出ませんよ。仕事の質が低くなる。上司もそれは望まないでしょう。

Answer:朝起きたときに、「今日もやってやろう」と思えるかどうかが鍵です

出口治明(でぐち・はるあき)
立命館アジア太平洋大学(APU)学長
1948年、三重県生まれ。京都大学卒業。日本生命ロンドン現地法人社長、ライフネット生命社長・会長を経て、2018年1月より現職。
 
(構成=八村晃代 撮影=市来朋久 写真=iStock.com)
【関連記事】
なぜ自衛隊は「休むこと」を命令するのか
"残業減なら給料増"元ブラック企業の革命
労働基準監督署はブラック企業をどう見つけるか
デキる人の「寝ずに頑張った」は多分ウソ
年収を増やしたければ長時間睡眠をとれ