「睡眠負債」とは、なにか?
最近、よく寝ている。40代になって、がぜん睡眠時間が増えた。
年のせい、ということもあるのかもしれないが、寝るようになって、すこぶる調子がよくなった。体調だけでなく、仕事についてもだ。
そんな私が、我が意を得たり、と膝を打ってしまったテレビ番組があった。2017年6月18日に放送されたNHKスペシャル『睡眠負債が危ない ~“ちょっと寝不足”が命を縮める~』である。
番組を見て、睡眠の大切さを改めて意識した私は、さらに理解を深めてみたくなり、自分なりに取材を進めてみた。今回は連載コラムの番外編的に、そのあたりの話をまとめたいと思う。
まずは番組で語られた「睡眠負債」の考え方について、簡単に説明しておこう。
睡眠負債とは、「少しずつ借金を重ねていたら、いつの間にか負債がとんでもない額になってしまい、もうヤバい……」といった事態が、睡眠においても発生することを意味している。「私はショートスリーパー」などと自慢する人や、「毎日少しずつ睡眠時間を減らしていって、いずれは3時間にしていきたい」などと考える人にとって、同番組はスタンスを改める大きなきっかけになったことだろう。
6時間睡眠を2週間続けると、2晩徹夜したのと同じ脳に
番組の公式HP(http://www.nhk.or.jp/special/sleep/)では、睡眠負債を次のように解説している
<「がん」「糖尿病」「心臓病」といった重大疾病と強い関連があること分かってきた睡眠不足。しかも最近の研究では、普段6~7時間寝て自分では「睡眠は十分」と思っている人でも、わずかな睡眠不足が蓄積する「睡眠負債」によって命に関わる病のリスクを高めたり、日々の活動のパフォーマンスを劣化させたりしていることがわかってきた>
<最近の研究で、睡眠負債により仕事や日々の生活の質が大幅に低下する実態が見えてきた。ある研究では、毎日6時間の睡眠が2週間続くと、2晩徹夜したのと同じ脳の状態になることが判明!さらに、血糖を下げるホルモン・インスリンの働きの低下や、アルツハイマー病の原因とされる物質の蓄積を引き起こす危険も見えてきた>