さらば! うつむき生活
では、どうすれば首に負担をかけない生活ができるのか。三井氏は「とにかく姿勢です」と繰り返す。重い頭や全身をバランスよく支えるためには、背骨のS字カーブを保つことが重要。首を下げず、「あごを少し突き出し、20度くらい上げる。それが首にとって一番よい姿勢です」という。
とはいえ、ビジネスパーソンの多くは、どうしても長い時間をパソコンの前でうつむいて過ごさざるをえない。できるだけ正しい姿勢を保てるよう、机や椅子、ディスプレーの高さを調節しよう。机に手を乗せたときに、肘が90度に曲がる高さに、ディスプレーは目の高さにする。同じ姿勢でいるのもよくないので、時々トイレに行くなどして姿勢を変えよう。
畳や床に座る和式の生活様式は、見上げたり見下ろしたりという首の動きが多くなるため、首に負担をかけやすい。そのため、座るときには、床より椅子を選ぼう。
外出する際にも、首への負担をかけないよう心がけたい。かばんを持つ手は、いつも同じほうではなく、定期的に変えるようにする。「一番よいのはリュックタイプのもの。両肩で重さを受け止め、首への負担が軽減されます」。
寝具も重要だ。寝た姿勢でも、あごが20度程度上がるくらいだと、無理な力がかからない。硬くて高い枕だと、寝ている間にも首に負担がかかるため、柔らかくて大きめのものがいい。低反発タイプは、頭の形に合わせてくぼみがつき、頭部が固定されて、首に不要な力がかかる可能性があるため、おすすめしないという。また、首のヘルニアの症状は、朝起きたときに突然出る人も多いが、「寝ている間に、寝がえりを打って枕から頭が落ち、首に衝撃がかかることも一因という可能性があります。予防のため、横に長い枕にするとよいですよ」。
OK枕
・大きくて柔らかめの枕:素材はパンヤや羽毛がおすすめ。
・横に長い枕:寝がえりを打っても頭が落ちないように、バスタオルを巻いてつくる。同じ枕を2、3個横に並べるのもいい。
NG枕
・硬くて高い枕:そばがらがパンパンに詰まったようなものは避けたい。
・低反発タイプの枕:頭部が固定されやすく、首に不要な力がかかる可能性あり。
・どこから始まる?
20代から首の筋肉が衰え出す。頭を支える力が弱くなり、肩こり、頭痛、めまいといったトラブルを引き起こす。
・最悪の場合は?
首の不調に由来する手のしびれを放置すると、指や腕、足などに麻痺がおこり、四肢痙性麻痺に至ることも。
・予防・改善策は?
あごを少し突き出し、20度くらいに上げた首によい姿勢をとる。机、椅子の高さや枕などを調整しよう。