夫は自分の親を看る、妻は夫の親も看る

養子縁組をせず、遺言がなくても、介護の功績が認められるケースはあります。しかし、介護をヘルパーなどに委託をしたと仮定して、日当×日数分の金額が権利として認められるだけで、負担の重さに見合いません。

そういう意味でも、養子縁組か遺言で対策を講じておくのが理想ですが、長男から親に進言するのは考えものです。「親に死んでほしいのか!」となりかねません。そこで、私がお勧めしたいのは、3ステップでアプローチをする方法です。

第1ステップは、普段から親の話をよく聞くこと。年に何回か、近況などじっくり話を聞く機会を設けてみてください。第2ステップは終活の確認です。要介護状態になった場合や、終末医療について、親の希望を聞きます。第3ステップでようやく死後の話になります。葬式には誰を呼んでほしいのか、呼んでほしくないのか、どんな葬儀がよいのかなどを聞いてみます。

親は、よく話を聞いてくれる子どもは親孝行だと感じます。「ほかのきょうだいよりも多めに財産を残してあげなきゃね」という言葉も出るでしょう。そのときがチャンスです。妻の養子縁組などをさりげなく話題にするといいでしょう。

手続きは書類1枚提出するだけ。問題は取り分減で生じる兄弟紛争
天野 隆

税理士法人レガシィ代表社員税理士。公認会計士。慶應義塾大学経済学部卒業。アーサーアンダーセン会計事務所を経て現職。税理士法人レガシィは、累計相続案件実績件数で日本一。
 
(構成=向山 勇 撮影=堀 隆弘)
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