日々の生活のなかで、理不尽だと感じることはありませんか。法律の知識があれば、解決できるケースもあります。雑誌「プレジデント ウーマン」(2017年9月号)の特集「1時間でわかる法律相談」では、9つの身近なトラブルについて4人の専門家に相談しました。今回は「介護」について――。(全9回)
▼夫の祖母の認知症介護を放棄したい。
夫の両親も働いていることから、近くに住む親族(夫の両親、夫の妹夫婦、わが家)で夫の祖母の介護することに。夫は仕事が忙しく介護の手伝いはできないので、わが家からは私が行くしかないのですが、夫の祖母とは思い出もないし、私だってバリバリ働きたい。大きな声では言えませんが、うまく介護放棄できないのでしょうか。

▼答えてくれたのは……一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会の方々
協会代表理事・FP 鬼塚眞子さん/弁護士 丸尾はるなさん/弁護士 山岸潤子さん/税理士 林 良子さん


3親等までは民法上は扶養義務がある

【山岸】民法で定められている扶養義務の範囲は、3親等内の親族までなので、今回のようにほとんど付き合いのない夫の祖父母であっても、扶養義務はあります。

【丸尾】扶養義務というのは家庭裁判所に扶養請求の調停や審判をして負わせることができるものなので、この時点で彼女が絶対に扶養しなければならないかというと、そうではありません。

親族の介護をすることを会社に伝えたほうがいいかについては、会社には従業員の介護と仕事を両立させる義務がありますし、介護休暇制度も利用できますから、伝えて配慮してもらったほうがいいと思います。