新卒採用支援に強みをもち、一時は就職したい企業の上位にもランキングされた「ワイキューブ」。豪華な社内バーでも知られ、3月、民事再生法適用申請のニュースは一晩のうちにツイッターで広まった。負債総額40億円。倒産までの全軌跡を明かす。
危機的な状況に陥ったのは、じつは今回が初めてではない。最初につぶれそうになったのは1998年、会社を創って8年目だった。原因は大きくわけて2つある。ひとつは年の売り上げがまだ5億そこそこのときに、賃料が月額で1200万円もする東京・西新宿の高層ビルに引っ越したことだ。
それまで私たちは、新宿二丁目の雑居ビルに入居していた。二丁目と聞けば、わかる人にはわかると思うが、そこがオカマが集まる街であることは、引っ越してから知った。
90年に25歳で会社を創ったときも何業をやるか、何屋をやるかは、それほど重要ではなかった。創業の理由も自分が自由になりたい、好きに生きていきたいというものだった。成功しなくてはならないとは思っていたが、それも成功したほうが成功しないよりはハッピーだろうという程度だった。
だが、成功するために何が必要かということは考えた。それには、まずは優秀な人材だ。