補助金ゼロで行われる「あまフェス」の熱気

しかしながら、単にうまい飲食店というだけでは、それほど尖っているとは言えません。実は、あま屋は6年前からは夏に「あまフェス」という自前の大型イベントを開催しているのです。道内の仲間の料理人、ミュージシャン、そしてあま屋のファンを集めたイベントなのですが、その熱気がまたものすごいのです。

あまフェスの模様

ひとつの店がしっかりと実業を通じてファンを積み上げ、その仲間で地域を巻き込んでいるからこそ生まれる熱気は、補助金に依存したB級グルメイベントでは感じません。あまフェスは当然、補助金はゼロ。完全自前で仲間と開催にまで至るからこそ、地域に多大な影響を与える存在になっています。さらに当日の盛り上がりだけでなく、2017年からは地元ホテルが「あまフェスパック」を組み立てるなど、地元ぐるみでしっかりと事業化していることも、補助金依存事業にはない堅実な発展です。

皆が関わり、応援したくなる店という存在は、地域に新たな連帯まで生み出しています。

そんなあま屋もオープンは2003年。天野さんは札幌の飲食店で勤務した経験があり、あま屋は天野さんの実家の鮮魚店が経営する飲食店としてオープンしました。当初は地元向けの普通の和食店だったものを、地元の食材に特化した業態に変更。客層も人口減少が進み続ける地元客だけでなく、日本だけでなく世界から、日高のうまいものをしっかりとした料理で食べたいというファンに向けたものへと転換しました。