「改憲より国民生活」前原民進党は支持されるか

国民の多くは今も政権交代可能な政党政治の再現を望んでいると思われる。民進党の最大の課題は、今や完全消滅状態となった国民の期待感の再醸成だ。前原体制が民意を正確に吸収して「健全で強力で効果的な政党政治」を創出できるかどうかが最大のポイントである。

一方、安倍首相は、今年前半の大逆風にもかかわらず、悲願の「在任中の改憲実現」こそ政権の達成目標という強い意志を失っていないはずだ。8月3日の内閣改造後、「改憲スケジュールありきではない」と口にしたが、改憲断念を明言したわけではない。

1カ月後、前原登場を見て、従来の自民、公明、維新などの各党に、民進党改憲派も含めて「改憲勢力」大結集の道が開けてきた、と手をたたいている姿も思い浮かぶ。だが、前原代表は「改憲より国民生活」の方針を守り、安倍流改憲プランには乗らないだろう。

有権者は、「改憲より国民生活」の前原路線を支持するのか、「重要課題に対案を示さずに反対だけを唱える野党」と見て背を向けるのか。他方、安倍流改憲に対しても、「国民軽視の理念押しつけ型改憲」という批判は今も強い。安倍流も「国民生活に結びつく改憲案」を用意できず、支持が広がらないという欠陥を抱える。

現実の攻防は、安倍首相が「在任中の改憲実現」を具体化できるのか、それとも野党側が時間切れに追い込んで安倍流改憲プランを葬るのか、という展開となりそうだが、有権者は、憲法問題への対応を通して、どちらが政権を託すのにベターな政治勢力か、そこを見抜こうとしている。来年12月までに必ず実施される次期総選挙で、「冷静な判断」が示される。逆に国民の側は、きわめて高度な政治課題について、どんな答えを書けばいいのか、本当の意味で「成熟度」が問われることになるだろう。

(写真=AFLO)
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