睡眠を「一日のご褒美」と考えている人は、一流にはなれない。一流のビジネスパーソンは、睡眠を「投資」と捉えて、「明日のためには、どう眠ればいいか」と未来志向で考える。だからといって、睡眠時間を増やせばいいわけではない。8項目のチェックリストから「一流の睡眠法」を確認していこう(全9回)。

Q.明日は大事なプレゼンがある。どうすべきか

A.明日に備えて早く布団に入る
B.いつもどおり過ごす

真面目な人ほどおかすミスとは

大事なプレゼンの前日は早めに寝て体調を整え、本番に備える――。これは真面目な人ほどおかしがちなミスです。

昼を活動的に過ごすと、夜は眠たくなって無理なく眠りに入れます。このように自然に眠りに導く働きを「睡眠圧」といいます。体が疲れていれば睡眠圧は高くなって眠りやすくなり、逆に昼寝をして休養十分ならば睡眠圧は低く、寝つきづらくなります。じつは普段の就寝時刻より2~3時間早い時間帯は、睡眠圧が下がっている時間帯です。早く寝ようと布団に入っても、なかなか寝つけません。

そもそも、特別なイベントが控えているからといって睡眠習慣を変えるのはリスキーです。たとえばいつもやらない半身浴をしたり、スタミナをつけようとして焼き肉を食べたりすると、体が変化に驚いて余計に眠れなくなるかもしれません。特別な日だからこそ、いつもどおりに過ごすことが重要です。

なかには、すぐに緊張する性格で、普段どおりに過ごしたくてもドキドキして眠れない人がいるかもしれません。その場合は、万全の状態で本番を迎えるために一工夫が必要でしょう。先述のように、前夜に早めに布団に入っても、睡眠圧が高まっていないため熟睡するのは困難です。そこで逆転の発想で、2日前の夜の睡眠時間を削ってみるのです。たとえば水曜日にプレゼンがあるなら、2日前の月曜日の夜は夜更かしをします。寝不足のまま火曜日の日中を過ごせば、夜は睡眠圧が高まって早く眠くなります。正しい睡眠習慣を身につけていつもどおりが望ましいのですが、それが困難な場合は、奥の手として試してみてください。

裴 英洙(はい・えいしゅ)
医師・医学博士、MBA。ハイズ代表取締役社長。金沢大学医学部卒業、金沢大学大学院医学研究科で博士課程を修了。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程修了。著書に『一流の睡眠――「MBA×コンサルタント」の医師が教える快眠戦略』など。
(構成=村上 敬 撮影=尾関裕士)
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