大企業の常勤相談役の平均年収2000~3000万程度
情報の開示はあくまで企業の自己申告であり、強制力はない。開示制度を設けても曖昧な記載が増えるのではないかという指摘もある。
東証の関係者は「あくまでも努力義務だが、何らかの記載をしないと投資家からその理由を問われるかもしれない。そのため経済団体や業界団体がこう書きなさいといった具体的な開示を回避するマニュアルを出してきて、実効性がなくなる可能性もある」と指摘する。
日本企業特有の慣習として長年続いてきた制度だけに改革は容易ではないだろう。読者のなかには、「雲の上の話」であり、自分には関係ないと思う人がいるかもしれない。だが、多くの社員が定年で辞めていくのに、一方では経営の第一線を退いても会社に居座り、死ぬまで面倒をもらっている人がいるのだ。
前出の経産省の調査によると、約80%の企業が相談役・顧問に報酬を支給しており、報酬の水準については「退任時の報酬ベース」という回答が最も多かった(27%)。産労総合研究所の調査(2015年)によると、役員の平均報酬額は「会長」で3693万円、「社長」で3476万円だという。大企業の常勤の相談役・顧問の平均年収は2000~3000万円程度と言われる。これに加えて個室・秘書・社用車の「3点セット」付きである。
何人も「相談役・顧問」を抱えているとすれば、その企業のコーポレート・ガバナンスには疑義がつく。ぜひ就職や転職での判断基準に活用してほしい。