派手な花形選手より地味な裏方部員を好む

同じ体育会系出身者でも、チームを優勝に導いたり、選手として輝かしい実績があったりしてもそれだけで採用の決め手になるわけではない。

ゲームメーカーの人事部長はその理由をこう語る。

写真はイメージです

「ラクロスの日本選手権で活躍し、チームのエースとしてがんばった地方国立大学の学生が最終の役員面接まで進みました。アスリートらしい積極性があり、すがすがしい印象を持つ学生でしたが、なぜか役員面接で落とされたのです。面接で彼は自分がいかに活躍したかを力説したのですが、実は役員の1人がラクロスの世界選手権の入賞者だったのです。役員にすれば、単に活躍した実績ではなく、どんな挫折を経験し、そこからどうやってはいあがったのかを聞きたかった。実績だけだと自慢話にしか聞こえません。役員には単なる『スポーツバカ』とししか映らなかったのかもしれません」

▼雑務をこなす主務や裏方仕事をする非レギュラー選手がいい

先に述べた人材要件のうち、最近では(4)コミュニケーション力や(6)リーダーシップを重視する企業も増えている。

住宅販売会社の採用担当部長は必ずしも中心選手だけではなく、体育会系の周辺の人材にも目を向けている。

「大学内外で人と人を結びつける役割を担ってきた人に注目しています。たとえば、ラグビーでも野球でも競技団体の試合の運営などに携わる裏方(主務など)の学生はコミュニケーション力がないとうまく回っていきません。箱根マラソンは学生主体で運営されますが、協賛企業との交渉役を担当する人もいますし、運営委員など裏方の経験のある人は、リーダーシップやコミュニケーション能力にたけているという印象があります。競走部内のレギュラー争いを制して“花の◯区”を走る選手はもちろん魅力的ですが、裏方の仕事を、身を粉にしてする部員にはさらに魅力を感じます」

「選手」に対しては協調性、チームワーク力、チャレンジ精神などを期待し、面接で深掘りして確認する。一方、「キャプテンやチームの裏方として活躍した人」はコミュニケーション力やリーダーシップに対する期待が大きいといえるだろう。

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