八方美人である必要はない

ここまで述べてきたことは、「ノリ」という、非常に感覚的な要素の話だ。その場のノリを上手につかんで楽しめる人もいれば、なかなかついていけずに置物のように過ごすしかない人もいる。そして、自分とノリが合う相手、合わない相手がいるのも、また事実だ。

フェイスブックやツイッターでも、ハッシュタグ祭りのようなムーブメントに乗れるか乗れないかは、その人の感覚次第で違ってくるもの。そして、その人物がどんな反応をしているかを観察することで、「リアルで会ったときも、たぶんこの人のノリにはついていけないだろうな」などと、その後の関係構築についてある程度判断できるかもしれない。

新たな人と出会った際に今後の関係が深化するか否か、お見合いパーティで知り合った人と果たして交際まで至れるかどうか――そうした判断は「クリスマスパーティやハロウィンパーティ、バーベキューは好きですか?」「ネットでハッシュタグ祭りに参加しますか?」という質問をぶつけてみると、それなりの確度で予測できるのではなかろうか。

人間はそんなに八方美人になれるわけでもない。また、年齢を重ねるにつれて、勢いやノリだけでは人間関係を築けないこともわかってくる。大人になったのであれば、付き合う相手は自分と志向や波長の合った人物を中心にするほうが、余計なストレスもなくなるというものだ。

【まとめ】今回の「俺がもっとも言いたいこと」
・ネットの「お遊び」やトレンドに乗れなくても、パーティやバーベキューの雰囲気になじめなくても、気にする必要はまったくない。合わない「ノリ」に付き合っても、疲れるだけ。
・八方美人であるより、自分と嗜好の合う人との付き合いを大切にする。それが大人のたしなみだ。
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973年東京都生まれ。ネットニュース編集者/PRプランナー。1997年一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ではCC局(現PR戦略局)に配属され、企業のPR業務に携わる。2001年に退社後、雑誌ライター、「TVブロス」編集者などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『バカざんまい』など多数。
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