「効率化を!」。職場でよく耳にするフレーズです。しかし、効率化とは一体何でしょうか。それは「限られた資源を有効活用して、得られる利益を最大化」することです。“率”というように、効率は計算できるもの。まずは数字に置き換えて理解しましょう。
効率は、「目標とする量÷それに割く資源」で求められます。資源とは、人材や時間などを指します。ビジネスシーンでいえば、「売上÷時間」に該当するケースが多いかもしれません。そこで導かれる数字は、働いた時間あたりの単価。これが仕事の効率を表します。業務が複数重なっていたら、効率を数値化して並べ、もっとも数字の大きいもの=効率のいいものを優先していく。売り上げの大きい案件に取り組むことが効率いいように思われるかもしれませんが、それなりの時間もコストもかかるもの。効率という物差しで測ると、また別のものが見えてきます。
ただし、例題であれば接客時間という「資源」がわからないと計算ができません。そのためには日ごろ、記録や定点観測をして、仕事に関する行動を数字にしておきましょう。それで初めて、「効率化」がただの掛け声で終わらずに済むのです。
1.現状を把握する
限られた時間の中で最大の売り上げを挙げるため、商品を分類し、在庫を確認するなどして、数字を整理する。もっとも単価の大きい美容液から売りたくなるが、販売単価が高ければ客は買わなくなるジレンマも考慮したい。
2. 仕事の効率を数値化する
単価に注目するのではなく、「商品の単価」÷「接客にかかる時間(分)」によって、「1分使っていくら売り上げられるか」を計算。効率でとらえると、1分400円の化粧水に対し、美容液は225円。決して〝優良品.でないことがわかる。
3. 最適な仕事効率を導き出す
限られた時間で最大の売り上げを挙げるには、時間効率が高いものから優先的に売ればいい。そして化粧水を1つ売るのにかかる時間×在庫数で全部売り切る時間を想定。そして2番目に効率のいいクリームを販売する。美容液を売らないのが最適のシナリオと判明した。
「ビジネス数学検定」日本最上位1級。企業研修などでビジネス数学を指導。『数学女子 智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』など著書多数。