プレゼンの際、聞き手を説得する材料として、グラフを効果的に使いたいものです。しかし、使い方を誤ったグラフをよく見かけます。その特徴は情報量が多いこと。こうしたグラフは解釈の余地が増え、聞く側の関心がよそにいったり、話題がそれたりして、いい印象を生みません。

グラフの鉄則。それは「ひとつのビジュアルにつき、ワンメッセージ」です。ノイズになるような情報は極限までカットすることで、メッセージの強度は増します。特に短時間のプレゼンでは、メッセージが一目瞭然で伝わらなければ、グラフにしている意味がないと言えるのです。

ただし、総売り上げが伸びているのなら、その数字を強調すればいいのですが、必ずしも好ましい結果ばかりとは限りません。そういう場合は「この商品だけは売れている」「前月よりも伸び率が上昇している」など、ポジティブな要素を探し出し、評価基準を変えて“局地戦”を仕掛けるのです。これは単なるごまかしではありません。データの詳細は、必要に応じて出せばいい。

視点を変えて何かの傾向を発見することで、仕事のヒントが生まれることもあるからです。

【STORY】9、10月は多くの商品を営業した山田さん。前月に比べ、全体ではわずかに受注総数が増えたものの、商品によっては売り上げが下がったものもあった。会議では、できるだけ上司にいいところを見せたいが、どのように報告したらいいだろうか?

データを活かすグラフを選ぶ

まずは報告したい基データを準備。シェアなどの割合は円グラフ、売上高の推移といった変化は折れ線グラフなど、それぞれのグラフには“得意分野”がある。伝えたい部分を、最適なグラフを使って表現することが相手の評価を分ける。

【NG】情報を全部出すのはNG
情報が多いため、人によって注目点が異なり、「Bの受注が大幅に伸びた」「Mは比較的受注が多い」など、多様な理解が発生してしまう。本来伝えたいメッセージだった「受注総数の増加」がかすんで、ほとんど伝わらない。

【OK】伸びた部分を強調!
グラフの内容を「6%アップ」にしぼり、さらに適切な棒グラフと矢印を採用したことで、業績が伸びた事実が強調された。あくまでもゴールは、グラフによってメッセージを伝えること。グラフを作るのがゴールにならないよう気をつけたい。

【結論】10月の受注数は、9月の6%アップを実現しました!