上司にとっていい営業マンの条件、それは安心感を与えてくれることです。「大丈夫です」「頑張ります」など、主観だけで語られても不安なだけ。しかし「業績が30%伸びました」「予算達成まであと200万円です」など、具体的な数字で伝えられると安心します。

数字を使いこなすためには、「この数字は何からできているか」を考える習慣をつけましょう。目標値ひとつとっても、「平均卸売単価×発注数」「単価×訪問件数×成約率」と、細かい数字に分解してみる。構成している要素のいずれかを伸ばせば、売り上げは上がっていく。つまり数字に強くなることで、具体的な営業活動のシナリオをつくれるのです。

さらに与えられた目標値が妥当かどうかも判断できます。上司や先輩から指示された目標があまりにも非現実的な場合は指摘したほうがいいでしょう。かつて何人かの経営者に「非現実的な目標に対して『NO』と言う従業員をどう思うか」と尋ねたことがありました。そのときの回答が、「数字の根拠があるなら『それではどうすればいいか』という議論の土台になるから、むしろありがたい存在だ」でした。数字を味方にすれば、信頼も勝ち取れるのです。

【story】化粧品メーカーに入社して2年目の山田さん。自社製品の営業で百貨店などを回っているが、まだまだ成績は伸び悩み中。上司から、1カ月1000個という営業目標を突き付けられたが、この膨大な数字をこのまま受け入れるべきなのだろうか?

1. 過去のデータから平均値を把握する

まずは自身の経験や同僚からリサーチした実績を参考に、発注数、営業件数など、要素になる数字を設定していく。過去の例がない場合、経験と直感を駆使して、大まかでもいいから納得できる数字をつくろう。客観的に反論を進めていくには、根拠となる数字が必須だ。

●1店舗あたりの発注数平均値
⇒ 過去の例から平均20個/1店舗の発注

●1件の受注あたりの営業件数
⇒ 過去の例から平均1件/5件の受注契約が成立

2. 目標達成のための目安を計算する

大きな目標値をどんどん分解していくことで、1日あたりの営業件数と契約件数が見えてくる。ここまで具体的な数字になれば、努力の範囲で実現可能なのか、それとも非現実的なのか判断材料になってくる。安請け合いする前に、自分がイメージできる数字に落とし込もう。