同じ事業でも、ビジネスモデルによって収益は大きく変わってきます。そこで自社の強みを踏まえ、最も適切なバリューチェーンを構築しなければなりません。

バリューチェーンは、業種ごとに異なります。出版であれば、企画→執筆→編集→印刷→流通→販売。食品製造業なら、商品企画→開発→材料調達→製造→流通→販売です。まずは自分の手がける事業のバリューチェーンを理解し、一連の流れが見えてきたら、その中で自社が担う工程を決めていく。社内のノウハウや事業が使える部分は活用していきますが、全くノウハウがない部分では「挑戦しすぎない」選択も大切です。その分野が得意なパートナー企業とどのように連携するかを検討し、バリューチェーン全体を完成させます。

ビジネスモデルを考えるのは、簡単な作業ではありません。もし迷いが生じたら、「ビジネスモデルとは、儲けを生み出すビジネスの仕組み」という原点に戻ってください。そのうえで、対価をもらえる事業の価値を明確にし、その付加価値は他社と何が違うかをとことん考える。この2つさえクリアできていれば、最適なバリューチェーンが見つけやすくなるはずです。

【STORY】ネット販売の新規ビジネスに大きな市場があることがわかり、いよいよビジネスモデルを考えることになった山田さん。上司から成功するビジネスモデルを組み立て、今後の戦略を考えるように言われたが、どうしたら適切なモデルがわかるだろうか?

1.バリューチェーンを考える

異業種であっても類似のビジネスを参考に、顧客に届くまでのプロセスを形づくっていく。今回の場合、商品開発と製造はこれまでと同じでいいが、店舗のみだった販売は、変革の必要あり。ネット用の受発注システムの構築と、顧客先までの配送などを整備しなければならない。

バリューチェーンとは
1つの事業の機能や流れを分類し、どの部分で付加価値が生み出されているかなどを分析すること。それによって自社の強みや、事業戦略の有効性や改善を検討することができる。

2.自社の強みを考える

商品開発と製造は、自社で担当。販売における受発注システムの構築・運営および配送は、専業会社がすでに多く存在することから、自ら担当せずにアウトソーシングが賢明だと判断した。宣伝・広告はこれまでのブランド力が活きると考え、自社Webを選択。