新規事業を立ち上げる際、市場規模の把握は必須です。ネットで検索してすぐにわかればいいのですが、新しい分野を開拓するとなると調査されていないこともしばしば。さらに状況によっては、締め切りが迫っていて、その場や数時間以内に回答しなければいけないケースもあります。

そうした場合、データはなくても暫定レベルの試算が可能です。たとえばある食品の市場規模なら、食品の単価×1人あたり年間食べる回数×人数で概算してみる。食べる回数は自分の経験をベースにするか、周りの人に聞いてみて、数字を設定。人数は高齢者が対象であれば、国民×3分の1と常識で数字をつくってもいいですし、最初に全体の50%を想定してみて、それは多すぎるから大体30%……と感覚で調整してみてもいいでしょう。

もちろんこれは正確な数字ではありません。しかし規模感をざっくりつかむことが、第一のステップ。その後、複数の考えやデータをつき合わせて、正しそうなロジックを採用していきます。あくまでも市場の可能性を考えるための数字ですから、話し合いの土台になって、議論を促すことができればいいのです。

【STORY】上司から化粧品をネットで販売する新規ビジネス立ち上げの話が舞い込んだ。企画会議の席で、立ち上げ前に市場規模を知り、可能性をつかみたいという上司。調査時間もなく、その日に答えなくてはいけない山田さんは、どうやって割り出せばよいだろう?

1.試算の精緻度合いを判断する

与えられた時間や必要性によって、どのレベルで試算するかを判断。「初期的試算」以上であれば、市場レポートを手に入れるなどして数字を集める必要あり。経営判断に関わるレベルになると、ネットで適当に拾った数字ではなく、信用のおける出典であることが求められる。

2.市場の要素を因数分解する

「単価」×「購入数」×「年間の買い替え頻度」によってはじき出した「1人あたりの年間の購入額」×「人数」が化粧品市場と考える。さらにその中からネットで購入すると仮定していく。市場はこうした要素の積み重なりととらえる。