世の中のスピードはますます加速し、1年後を読み取るのも難しい時代になった。ヒットメーカーはどのようにして、先を見通しているのか。ハンゲーム、LINEなど数々の事業を成功させてきた森川氏に、消費者ニーズをつかむ方法を聞いた。

無意識の行動に本質がある

ビジネスは釣りと一緒なんです。「ニーズがあるか」が一番大事。魚がいない所に釣り竿を垂らしても釣れないように、ニーズがない所に優秀な人材や技術を入れても、絶対に成功しません。だから、魚がいる場所を予測し、すぐに釣り糸を垂らし、魚がいるかを見極める。魚がいなかったら、即、次の場所に移動する。ビジネスもこの繰り返しです。100通りくらいニーズを考えて、全部試せば、いつかは当たりが出ます。

C Channel社長 森川 亮(もりかわ・あきら)氏

では、どうやって100通りのニーズを考えるか。顧客に「何か欲しいものはありますか?」と聞いてもダメ。「こういうものが欲しい」と顧客から答えが出る時点では、もう遅いんです。まだニーズが顕在化していない段階で世の中に商品を出し、顧客から「これが欲しかった」と言われるくらいの〝先取り.が必要なんです。

だからこそ「何が流行るか」を予測することが非常に重要なのですが、残念ながら、先の時代を正確に読むことはできません。しかし、確率の高い仮説を立てることはできると思っています。

そのために、まず初めにすることは、現状を知ることです。顧客が「今、何を使っているのか」を徹底的に調べていきます。

インターネット業界におけるアメリカのように、“先進国”がある場合は、その状況も調べます。すると、先進国との“ギャップ”がわかりますよね。そのギャップを埋める方法を考えて、いけそうだったら、なるべく日本に早く持ってくる。すぐやらないと他の人にとられてしまいますからね。

新しいプラットフォームが出たときに、どういうものが使われたのか、市場の流れを調べることも有効です。例えばモバイル市場では、iモードが最初に出たサービスなので、それが市場に出回った流れを研究すると、スマートフォンでこれから何が流行るのかが予想できます。