命運を分けるのは、やるかやらないか
研究し仮説を立て、検証する。これはやろうと思えば誰でもできること。なのに成功する人としない人がいるのは「やるかやらないか」の違いです。
これだけの変化の時代ですから、先が見えなくて誰もが不安になる。だからといって、じっとしていてもいいことは何一つない。不安を解決するためには行動するしかないんです。
今は、砂漠にいるようなものです。生き残る方法を100通り考えたけれど、確率が高いものでも10%しかない。だけど何もせずに死んでしまうより、10%にかけて行動したほうが、ずっとましです。
大事なのは、可能性をできる限り挙げてみること。そして確率の高いものから試すことなんです。ビジネスの場合は、そこに競争が加わりますから、できるだけ早くやったほうがいい。悩んでいる時間があるなら、全部試すことに時間を使ったほうがいいんです。
成功には時間がかかりますが、失敗はすぐにわかる。市場に出してみて、全く反応がなかったら、まず失敗ですからね。だから、ちょっとやってみて、失敗だと思ったら、すぐ次に行けばいい。言い出しっぺは認めるのに勇気がいりますから、第三者に見極めを任すというのも手です。こだわりがないので、あっさり失敗の烙印を押せます(笑)。
すぐ撤退できるよう、費用と時間はかけない
一つの事業を始めるとき、費用と時間をかけすぎないのもコツです。昨年「C CHANNEL」というスマートフォンに特化した女性向け動画配信事業を立ち上げましたが、思いついたのは1年半前です。そこから人とお金を集めて、3カ月でサービス化しました。それくらいのスピードがないと変化の早い時代にビジネスをやるのは難しいと思っています。
日本人は始めるのもやめるのも遅い。そのことが足を引っ張っている場合が多いんです。明らかにもうダメだと思っているものを何とかしようとするのは、みんなにとって不幸です。
今、必要なのは、“無責任力”。笑って「失敗しました!」と言えるような力です。そもそも10回に1回ぐらいしか成功しないのですから、失敗なんて気にしなくていい。むしろ失敗しても立ち止まらず、成功するまで試行錯誤を続けるのが、本当の意味で「責任を取る」ということじゃないかと思いますよ。
1967年、神奈川県生まれ。89年、筑波大学卒業後、日本テレビ放送網に入社。コンピュータシステム部門に配属され、ネット広告、映像配信、モバイルなどの新規事業立ち上げに携わる。MBAを取得後、2000年にソニー入社。03年にハンゲーム・ジャパン(現LINE)入社。07年、同社代表取締役社長に就任。15年3月、同社代表取締役社長を退任し、顧問に就任。同年4月より動画メディアを運営するC Channel代表取締役社長。