――チョコレート以外は?
チョコレート以外だと、何ですかね。あっ、髪型を変えないようにしています。もう切っちゃいたいとか、もうちょっと伸ばしてみたいとか、冒険心はあるんですけど。
――どうして我慢しているんですか?
ぶれないイメージのためです。イメージ戦略!
――(笑)やっぱり大変な我慢があるわけですね。
はい、地道な努力があります。
――のんさんからは、いつも朗らかで自由な感じを受けます。チョコレートを我慢しているというのは初めて知ったのですが、そうした我慢は、表現者としてはあまり伝えないほうがいいことなのでしょうか。
そうですね。人それぞれだと思うんですが、けっこう表現することに関しては、見ている人が楽しめたりとか、その作品をおもしろいと思っていただいたりとかっていうのが仕事だと思うので、我慢するのが仕事というわけではないんです。そのために我慢しなきゃいけないことがあっても、それは作品を表現するために仕方のないことという感じなんですかね。よくわからないです。我慢しないです、私。チョコレート以外(笑)。
――幼い頃から絵を描くことが好きだったとうかがいました。ただ、いまではのんさんに「描いてほしい」という依頼も多いと思います。自分で好きに描く絵と、今お仕事で描いている絵というのは、ご自身の中で全然違うものですか。
今回の本は自分自身の本なので、自由に描いていたときとまったく違うというわけではないんです。依頼されたものを描くというときは、ちょっと違うかもしれないですね。提示されたテーマみたいなものがあると、また違った楽しみがあります。
「貝殻から出て仕事をしている」
――今回、本の中では「素ののんさん」という言葉が何度か出てきていました。「素である」ということは、意識しますか?
あんまり意識しないですね。桃井かおりさんには「貝殻から出て仕事をしている」って言われました(笑)。
――そうでしたね。本の中で桃井さんは、「私たちは生モノだから、すごく気をつけなきゃいけない」「乾かないように、時々は貝殻に入ってね」とアドバイスしていました。これからものんさんの「素」のイメージを、汚したり、壊したりしたい人たちが、いろいろなテーマを依頼してくると思います。本のなかでも「誰も知らないのんを俺の手で引き出したい」という人を「苦手!」とおっしゃっていました。
いやだって言っちゃっているんですよね(笑)。恥ずかしながら万能ではないんです! 情けない!
――ドロドロしたものが苦手だと。
ドロドロ系がなかなか出てこないんですね。内側から。でも、できないって言いたくないので、できます!
――できるのに、やらない?
見る人が、私だと楽しくないかな、と。一回きりで終わっちゃう気がして。一回きりの切り札ですよね。
――まだチャレンジしたことはないですか。
まだないです。
――今後、いつかやるかもしれないということですね。
おばあちゃんとかになってからとか。ほんとにガラッと変えたいときは切り札を。大事にしています。切り札を大切にしているんですよ。