――本を拝見して、一番印象に残ったのは、のんさんが故郷(兵庫県神河町)で撮ったスナップ写真でした。今回あらためて自分の故郷を撮影してみて、どう思いましたか。
おもしろかったですね。
――どこがおもしろかったですか?
小学生ぐらいまで住んでいた実家は途中から引っ越していたので、ほんとにちっちゃいときの記憶しかない場所があったりして。実家に帰るときにも行っていない、十何年行っていないような場所を巡ったりしたので、すごく道が狭く感じたりとか、ここらへんの田んぼはもっと広いと思っていたなとか。「すべてがちっちゃーい!」みたいな感じで。その子供のころに感じていたものとの違いがおもしろかったです。あと、まったく変わっていないところもたくさんあったんですけど。中学校は変わり果てていて、知らない学校みたいになっていて。その中に当時お世話になった学年主任の先生と出くわして、不思議な感じでしたね。なんかこう歩いていると、景色を見て、思い出したり。芋づる式に記憶が呼び起こされるのがちょっとおもしろかったです。
好きなことをやらなきゃ
――ご自身の故郷での思い出は、これまでの役作りに生きていますか?
山に囲まれている土地で育ったので、田んぼに入ったりとか、草で遊んだりとか、虫と戯れたり。オタマジャクシを捕まえて、飼育して、さよならしちゃったりとか。そういう田舎の特権みたいな遊びで遊んでいたり、自然が当たり前の中で過ごしていたので、それはとても生かされているかなと思います。
――本のなかでは、桃井かおりさんや清水ミチコさん、矢野顕子さんなどとの対談も読み応えがありました。そのなかで、写真家の鈴木心さんが、「一連の撮影で、のんさんから学んだことは、『好きなことをやらなきゃ』ってこと」と発言されていました。「好きなことをやる」という姿勢を貫くためには、我慢をしなければいけないこともあると思うのですが、なにか我慢していることはありますか?
チョコレートを我慢しています。
――(笑)それはずっと?
お休みの日だけはつまみます。でもやっぱりお肌のために。チョコレートを食べると、一瞬でブツブツって出てきちゃうので。やっぱりお肌は重要なのです……。チョコレート大好きなんです。食べたいんですけど。アーティストであり、女優なので。お肌が命なので気をつけています(笑)。