過去にマンション購入が租税回避行為に当たるとして、税務調査で否認事項とされた(税務否認)ケースがいくつか知られている。具体的には、親が亡くなる直前、息子が親の代理でマンションを購入し、自分も住まず賃貸にも出さずに、親の死後すぐに売却した――という相続税回避の目的が明らかな、悪質なケースだ。

問題は、「一般的な不動産投資と租税回避行為の境界はどこにあるのか」という点にある。当社は、投資用不動産の購入が租税回避行為とみなされるリスクをなくすために、顧客へのコンサルティングの際、いくつかの自主的制限を設けている。

第1のポイントは、被相続人が元気でしっかりしているうちに購入すること。第2は、代理人や後見人ではなく、被相続人自らが取引すること。第3は、相続した不動産資産の売却は、相続税申告後まで行わないこと。第4は、相続や不動産に詳しい、優秀な税理士に相談すること。

こうした留意点を守っていれば、マンション購入後に相続が発生したとしても、純然たる不動産投資とみなされ、トラブルにはならないだろう。

沖 有人

スタイルアクト代表取締役。慶應義塾大学卒。コンサルティング会社、不動産マーケティング会社を経て1998年から現職。著書『タワーマンション節税! 相続対策は東京の不動産でやりなさい』など。
 
(構成=久保田正志)
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