抽選に外れても3回のチャンスあり

非上場だった会社の株を株式市場に新規上場することをIPOといいますが、IPO株への投資が通常の株式投資より儲けやすいことをご存じでしょうか。

IPO株は、上場前に証券会社が公募価格で売り出します。上場日の初値は公募価格を上回ることが多いので、かなりの確率で儲けられるのです(下図)。

※西堀敬氏提供データをもとにプレジデント編集部作成。表中「キャピタルゲイン」の数字は、すべてのIPO銘柄を1単元(100株)公募価格で購入して初値で売却した場合に得られる利益の総額。「分け」は公募価格=初値でまったくの同値。2016年3月31日現在のデータを使用

問題は、希望者全員がIPO株を買えるとは限らないことでしょう。多くの人がIPO株を欲しがるので、そもそも入手が難しいのです。

大手の証券会社には口座に1億円あるような資産家の顧客が多く、小口の投資家が口座をつくってもIPO株はほとんど回ってきません。それより準大手に口座を開いて申し込んだほうが、回ってくる確率はまだ高い。

ネット証券は完全に抽選なので、そちらに申し込んで運に任せる方法もあります。ただ、抽選に当たるのはその銘柄が不人気だからということも考えられます。いくら儲けやすいIPO株でも、2016年は4社のうち1社の割合でIPO株が公募価格割れでした。

では、どのような銘柄なら初値が公募価格を上回るのか。狙い目は東証マザーズに新規上場する会社です。昨年マザーズに上場した会社は、設立から上場までの期間が平均17年でした。これはJASDAQや東証一部・二部に新規上場する会社よりずっと短い。会社が若いと大化けへの期待値が高く、それが株価に反映されます。また、マザーズへの上場は、資金調達額が少なめ。調達額が少ない割に資金がどっと流れ込むことも、値上がりしやすさの要因です。

IPO株は初値で売るのが鉄則になります。ただ、抽選に外れても、IPO株で儲けるチャンスは3回あります。

1つ目は、寄り付き(取引所が開いてから最初の売買)で買って、少し上がったところで売る方法。実は上場日の最高値は初値より平均9.6%上がる。9.6%はあくまで平均ですから、そこまで上がらないケースも考慮して、4~5%上がったところで売り抜けるのが賢いやり方です。

残念ながら、この投資法を実行できるのは、上場日にずっとPCの前に座っていられるデイトレーダーだけ。また、上場日の終値は初値より平均でマイナス2%になります。売り逃すと損をするので要注意です。

2つ目は、IPOした会社の業績上方修正を狙う方法です。

IPO企業は上場時には保守的な業績予想を出すので、上場後に上方修正が起こりやすい。上方修正されると、市場から成長性が高いと判断されて、大きく株価が動くことがあります。業績上方修正の発表後、すぐに買いを入れておけば、その後1週間~10日の間に値上がりする可能性が高い。一つの目安として、株価が3割ほど値上がりしたタイミングが売り時になるはずです。

3つ目は、東証マザーズから東証一部に市場変更するタイミングを狙う方法。新規上場した企業は、上場後1年経過し、一定の利益基準を満たせば、市場変更することができます。その際、一般的に機関投資家が買う量が一挙に増えるため、株価が上がります。市場変更の承認は東証のホームページで確認できますので、上場を予想してその1~2カ月前に買いを入れるわけです。

西堀 敬

日本ビジネスイノベーション代表取締役。IPOジャパン編集長。IPOエバンジェリスト。証券会社などを経て、2011年から現職。著書に『最新版 IPO投資の基本と儲け方ズバリ!』など。
 
(村上 敬=構成)
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