同じ業界で働いたことがないとしても、顧客を知り、顧客に関する知識を身につけるためには、3つのポイントがある。
1つ目は「全体像」の把握だ。
社会科のカリスマ塾講師によると、歴史の平均点を一気に引き上げるには、先史時代から現在にいたる年表をつくり、歴史全体における個々の事件や出来事の位置づけを俯瞰しながら教えていくことが有効だそうだ。
この考え方は営業に必要な知識を習得する際にも有効である。
2つ目は「関連性」の把握である。その知識自体は間違いではなくても、ほかの要素との関連性を見てみると間違っていることがよくある。
たとえば親会社主導で経営改革に取り組んでいるという企業では、方針が現場に浸透せず、実際には社員が反発して何も実践されていないことがある。あるいは商談の際に部長と課長が同席していても、実は経営層に対する発言権を課長のほうが持っている、ということがある。
こうした場合、両者の関連性を把握していなければ、地雷を踏んでしまいかねない。関連性がわかっていれば、よりふさわしい提案の切り口を見出すことにもつながる。
3つ目は「相違点」の明確化だ。「顧客がいま使っている商品と自社の商品は何が違うのか」「導入した場合としない場合ではどう違うのか」など相違点を対比させるようにする。対比しながら商品知識を身につけると、各商品の特徴をより明確にとらえられるメリットもある。
顧客は比較によって価値を測る習慣が身についている。個人も法人も、比較検討してから購入を決定する時代、比較の視点を持たないと顧客の気持ちは理解できないのだ。
(構成=宮内 健 撮影=早川智哉)