「失敗」を失敗に終わらせない
わたしはこれまで、過去の延長線上で考える人々からどんなに反対されても、新しいものを生み出し続けてきました。「みんなに反対されることはたいてい成功し、賛成されることはたいてい失敗する」などと、逆説的な言葉も発してきました。
わたしの仕事人生を支えてきた発想する力や判断する力について、それはどのような考え方やものごとのとらえ方をすれば、身につき、鍛えられるのかを、わたしの後に続く人々に伝授する。それが、いまの自分にとっての大きな役割だと思っています。
仕事には失敗もつきもので、わたしの仕事人生もすべてが順調に進んだわけではありません。そのときは最良の選択と思っても、結果として失敗にいたったことも数々ありました。ヨーカ堂への転職も、セブン-イレブン創業も、失敗から始まりました。
ただ、失敗を失敗に終わらせなかったことで、そこから新しいものを生み出すことができた。本書は、そんなわたし自身の「失敗との向き合い方」も、あますところなく記しました。
年齢に関係なく、組織内での職位にも関係なく、仕事に対する向き合い方が変わらない人は、常に力を発揮できる。逆にその都度、仕事の仕方が変わる人は、いつか信頼を失うでしょう。
未来に向かって敷かれたレールはない。
本書は若い世代、ミドル層、そして、経営層にいたるまで、すべての世代、すべての層に、いつまでも前に踏み出してもらうため、新しい生き方に踏み出したわたしがいま、贈りうる最大限のアドバイス集です。
もし発想が行き詰まったとき、もし判断に迷ったとき、必ず力になるはずです。
※本連載は書籍『わがセブン秘録』(鈴木敏文著 取材・構成=勝見明)からの抜粋です。