いまは「自分で考える力」が重要

未来を起点にして、跳ぶ発想で仮説を立て、いままでにない新しいものをつくり出す発想力。迷わず一瞬で決断するための「判断の尺度」の持ち方。これらを一言でいえば、何かに頼るのではなく、「自分で考える力」です。

いまの時代は、「自分で考える力」こそが求められるようになっています。

戦後の日本社会は、第一フェーズの「メーカーによる合理化の時代」から始まり、第二フェーズの「流通による合理化の時代」を経て、いまは第三フェーズの「消費者による生活の合理化の時代」に入っています。

第一フェーズや第二フェーズのころは、どのメーカーも他社と同じような商品を大量生産し、どの流通も過去の延長線上で、他チェーンと同じ商品を大量販売すれば成り立ちました。そのため、他社の事例を勉強する力や、過去の事例をよく覚えている記憶力に優れた人間が重宝されました。

しかし、いまは消費者自身が自分たちの生活にとって、もっとも合理的なあり方を考え、それに合わせてモノや流通のあり方を選ぶようになっています。明日のお客様は何を求めるかを考え、新しいものを生み出していく発想力や、「判断の尺度」を「お客様」に合わせ、迷わず判断していく力、まさに、「自分で考える力」を持ち、新しい価値を生み出すことのできる人材こそが評価され、重要なポストに起用されていくでしょう。

実際、いま、元気のある企業は、アパレル業界においても、インテリア(家具)小売業界においても、「製造小売業」の業態をとりながら、新しい発想で新しいものを次々と生み出している会社です。

セブン&アイ・ホールディングスが推進するネットとリアルを融合した「オムニチャネル」(サイト名は「オムニ7」)も、既存のEコマースやネット通販の専門企業と決定的に異なるのは、グループが商品開発能力を持つことにあります。これから先、オムニ7でしか買えない、オリジナルな新しい商品をどれだけ開発し、提供できるかが問われるでしょう。