では、どうすべきか。
菅義偉官房長官が、選挙対策委員長になったときにも繰り出された、自民党の伝統的手法が援用できるのではないかと思う。
その手法とは、「徹底して争点をなくす」という戦略だ。対峙する政党が自民党ができない政策として、「世襲制限」を掲げたとき、菅氏は「世襲制限」の公約を世間に発表した。世襲議員の多い自民党で、なぜそんなこと可能だったとかといえば、そのような公約はハナから守る気がないからだったのだろう。事実、そんな公約などなかったかのように、多くの自民党議員は今でも世襲を続けている。
他にも多くの例をあげることが可能だが、例えば、安倍政権の女性活躍推進はどこへ行ってしまったのか。閣僚の女性の数は、今や、たったの3人だ。
都議会自民党が、小池知事と対峙していくにはこの方法を用いるしかないだろう。議員報酬を下げるという機運が高まったなら、私たちこそ下げるという。情報公開しろと迫ってきたら、私たちこそ情報公開が大事と思いますと返す。豊洲移転を慎重にとなったら、私たちも慎重にした方がいいと思っていましたと主張していくのだ。今のまま、いたずらに知事に反発し、有権者に「小池さんは頑張ってるのに、都議会自民は伏魔殿」という認知を受けていては活路がない。
争点があるから注目をされ、争点がなければ新聞・テレビは興味をなくす。興味をなくしたときに、人知れず掲げた政策を骨抜きにしていくのだ。こうやって自民党は国民の厳しい目を今日まで無事にすり抜けてきたのである。
これは、都議会自民党が現状を打破する唯一の方法と思われる。都議会自民党は自民都連の幹部でもある萩生田光一内閣官房副長官を通して、菅長官に老練な政治手法を教えてもらうのがいいと思う。知事に対抗する手段が、「握手拒否とヤジ」では、あまりに稚拙ではないだろうか。
雑誌プレジデントでは、小池百合子東京都知事による連載「東京ビッグバン」、飯島勲内閣参与(特命担当)による連載「リーダーの掟」、橋下徹さんによる連載「橋下通信」が大好評を博している。とりわけ「リーダーの掟」では、短期集中連載として、内田茂氏をはじめとする「日本のドン」の内幕と手口を徹底的に暴露しているので、ぜひお手にとって読んでいただきたい。