社会的怠惰や同調プレッシャーを取り除く

共同で作業をするときに効率や生産性をあげる対策を考えていくと、次のように責任の境界をはっきりすることが挙げられる。そこで大切になるのは、自分と違う視点や立場の人の考えに耳を貸すことだ。

1.自分と違う分野・新しい視点の人をチームに入れ、弱点を補う
多角的な視点・発想が得られ、偏りがなくなる。

2.それぞれの役割をはっきりさせる。
責任を持つ分野・貢献すべき内容が明確なら、責任感から怠け心がなくなる。

3.自身の能力や貢献度を評価する機会を与える。
自分の力をいかしやすくなる。

4.個々人の成績や能力を、確認できるようにする。
自身の活躍を認めてもらえる。

5.課題を魅力のあるものにする。
モチベーションを高め、やる気につなげる。

複数人での共同作業になったとき、まず発想はひとりひとりでするほうが効率的だとされる。前述したように、ひとりが考えを掘り下げていくほうが深く考えられるからだ。さらに、大勢で考えると各人で発想する数が減ってしまうというデータも見られるため、会議はアイデア出しの場ではなく、アイデアを持ち寄ってそれについて意見を交換する場とする。各人の考えをもとに、みんなでそれを磨き上げるほうが生産性は高い。

作業は、各人の責任の範囲を曖昧にせずにはっきりと自分がやらないと終わらない状況に分担して、最後に合わせることにする。こうした意識をもつだけで、共同作業でただの足し算以上の相乗効果が期待できるようになる。

そして、最初に立ち返って“違い”を恐れることなく取り入れて、異なる分野の人とコミュニケーションをとっていくこと。たとえ釣りでも、飲み屋でも、同郷でも……ひとつの共通のとっかかりを見つけたら、互いの長所を生かしながらつながれば新しい考えが自分に吹き込まれる。それを続けるうちに、共通の達成したい目的が見えてくるかもしれない。

[脚注・参考資料]
Karen Anderson, Be an opportunity maker, TED Sep. 2014
NHK「大心理学実験」関連情報、 日本社会心理学会広報委員会サイト

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